セファンの意図2
信頼のおける宿であるとセファンに紹介された宿に、戦馬を停めて、一室に集まった“選ばれた盟友”の仲間達。
フィジは宿が決まったタイミングで外出しているので、その隙に、である。
「そうか、セファンには色々と知られている感じか」
「フィジも通訳したのだから、ある程度は理解したのだと思う」
「ま、シミが衛兵であることを気付かれても、スパイと疑われなくて良かったわよ」
「シミの顔が、心の中をすぐにあらわしてくれたおかげね」
「ほめられたとも思えないのだが……」
「で、セファンは言わなくても良いことを言って来た意図は何かしら?」
「ユリ、どういうことだよ?」
「黙っておいても良かったことでしょう?特に中継島や私掠船のことなんて」
「言われると、確かにそうだな……」
「自分はなんでも知っているぞ、と優位な立場をアピールして、自分に逆らうなよ、とか」
「普通の場面ならそんなこともあり得るけれど、旅行者の私達に、しかも今さら……」
「だからじゃない?告発状を書かせた私達が、下手にこの国に長く残って、彼の不利な方向になることを不安に思ったとか。何せすぐに顔にでるリーダーの集団だから」
「う……」
「つまり、さっさとこの国を出ろ、ということか」
「そういうことでしょう。自分として欲しい告発状は入手できたし、上手く使うタイミングもあるのでしょうし」
「シミ、迷宮都市トリアンの衛兵団もそんなややこしかったのか?」
「いや、俺はそんなところまで知らなかったから……」
「どうせ、どんな組織でも、そんなものじゃないの?その中でセファンはまだまともな方だろうから、あぁいう人が早く出世する方が世のためでしょう?」