市場での迷子
「ジモたちは戻ってこないな」
はぐれてしまったシミリート達は、戦馬をとめた場所に戻って来てしばらくたってもジーモント達がこないので待ちくたびれている。
「なぁ、すぐそこ、ちょっとだけ買って来て良いか?」
「ヨルク、そう言ってはぐれたら大変だからちょっと待とうよ」
ゾフィにもたしなめられるヨルクだが、残りの3人が目を離したすきに屋台に行ってしまう。
一方の、ジーモント達。
「シミ達、追いついて来ないな。流石にこれ以上はまずいだろう」
「そうね、魔法の火が放たれた感じはないから、単にはぐれただけでしょうけど」
「いったん、馬のところに戻ろうか」
「流石はサンダー。そうね、変に探すより確実よね」
カミラも貝製品などの細工物を買うなど、それぞれ満足するだけの買い物ができたのか、特に反対する者もいなく戻ることに決定する。
「屋台に沿って遠回りして来たから、ここを通った方が近道になるはずよね」
「そうだな」
人の少ない建物の間であるが、特に気にすることなく進むカミラ達。
慎重なユリアンネが居ればその選択をしなかったかもしれないのだが。
「お前達、随分と呑気なものだな。髪の色も違う外国人が市場で買い物しているなんて話、すぐに噂になるというのに」
その路地の行く手を塞ぐように出て来た男達。後ろを振り向いても、そちら側にも別の男達が道を塞いでいる。
「やってしまった、ということかしら。それにしても人数が少なそうだけど」
「ま、俺たちの人数も少ないからな」
「ちょっと、私はどうしたら良いのよ!」
フィジ以外はそれぞれの武器を取り出して戦闘準備をするが、フィジが怒る。