セグンの散策3
セグンの港の市場で、4人と5人の組を作りながら進む一行。
最初は互いの組の位置を目で追いかけてはぐれないように意識していたのに、だんだんと離れていってしまう。
「ヨルク!そんなに買い込まなくても」
「いや、あれもこれも美味そうだし」
「離れているわよ。急がないと」
それでも、ユリアンネがシミリートの背中を叩いて調整させることで、ドワーフらしく背が低いのにあちこち行きたがるヨルクも誘導しながら何とかはぐれずに済んでいる。
基本的にはヨルクが調理済みの魚や貝類を購入して食べ歩き、ジーモントは調理前の魚などを購入していくだけなので、どうしてもヨルクのいる組の方が遅くなる。
もちろん、他の者も自分が気になったものを覗き込んでしまうので、危険である。
「ユリ!大丈夫か?」
「あ、ごめんなさい。あの文房具、昔に市場でご主人の形見をまとめて販売されていた人を思い出してしまって」
「そうか。あの一つは魔道具だったんだよな。って、まずい。ヨルク?」
シミリートとユリアンネは、何とか屋台でイカの姿焼きを買って食べているヨルクとゾフィを発見する。
「うーん、まずいぞ。ジモ達がどこに行ったか」
「あまり動かないのが迷子になったときの常套手段なんだけど」
「お互いに大人だからな」
「仕方ない。もう買い食いも満足しただろう?戦馬のところに戻るとしよう」
シミリートが、もう一つの確実な手段である、その場に来た乗り物のところに移動することに決める。
一方のジーモントたち。
「なぁ、シミ達がついて来ていないぞ」
「ヨルクの買い食いに連れまわされているんでしょう。すぐに追いつくわよ」
「そうか?」
そのまま市場の散策を継続することにしてしまう。