セグンの散策
「結局、盗賊の“黒き帆の兄弟団”達からも金をせびり、俺たちからも金をせびったということか」
「ま、拘束を続けて何か処分をしていくとなれば、衛兵団の中でももっと上に話をする必要があり、俺たちを捉えた無理矢理の理屈なんてくつがえるのが分かっているのだろう。だから小遣いをそれぞれから貰えたら釈放するのが楽なんだろうな」
「まだ納得いかないわ!あんな奴に金貨を渡すなんて」
「カミラ、それで解放されるまで何日も牢屋にいたい?」
「う!それにしても、このハンソクって国は何なのよ!盗賊やロクでもない衛兵とか!」
衛兵の拠点から解放されて、しばらく進んだところで、溜まっていたうっぷんを爆発させていく仲間達。
戦馬の大きさは街中でも目立つので、騎乗せずに徒歩で進んでいる。
「こんな国でごめんね……」
日頃とは全く違った、元気のない顔でフィジが呟く。
言葉がはっきり聞こえていなくても雰囲気で察したカミラが、慌ててなだめている。
「で、この後はどうする?」
カミラ達の様子を見たユリアンネが、話題を変える。
「なんか変なケチがついた街だし、早くに出て行った方が良いよな」
「前の盗賊の“深海の狼”の方は別の街で奴隷にして来たから、俺たちの顔を知る者も居ないと思うけれど、今回の“黒き帆の兄弟団”の方は、20人近くも牢屋に入らず奴隷にもならずこの街にいるのだろうから」
「そう考えるとまた腹が立ってくるわね」
「いや、そうではなくて。変に出歩いていると、報復されることが心配だろう?」
「でも、もう街に来てしまったのだから、せめて港の方に行って海産物だけでも買って行かないか?」
「そうね。宿を取るのは危なそうだから、このまま買い物したら街を出ましょうか」