セグンの衛兵3
しばらく誰も来ない部屋で待たされていたシミリート達。
部屋の外では人の出入りがあった気配がした後、さらにしばらくしてからようやくドアが開かれる。
中に入って来たのは、ニタニタという顔をしていた分隊長と思われる男が1人。
「お前は、この国の人間だな。この外国人達に通訳しろ」
フィジに向かって指示しているのが、ギアマ経由でユリアンネには理解できる。
「この人に通訳を指示されているわ」
「分かった。頼む」
フィジがシミリートと会話した後、分隊長に頷いている。
「どうやら行き違いがあったように思える話と判断した。それぞれが衛兵の俺たちに手間をかけた迷惑料を払えばそれでことを終わらそうと思うのだが?」
フィジ経由で話を聞いたカミラが怒りをあらわそうとするので、ユリアンネが分隊長に見えないように自身の身体を割り込ませてなだめる。
「ユリ?」
「シミ、これを」
カミラには答えず、こっそりと取り出した金貨を渡す。
シミリートは渋い顔をしたまま、その金貨を表に見えないような気遣いをしながら、分隊長に握らせる。
分隊長は後ろを向いて手の中身を確認したようである。
「なかなか殊勝な心がけだな。そう、我々の手を煩わせたことをしっかり反省しているようだ。よし、このまま出て行って良いぞ」
かなり機嫌が良くなった感じの声でフィジに伝えてくる。
順番に部屋を出るときの扉の両側にいた衛兵でも片方はニタニタ、片方は苦虫を潰したような顔をしていたのが印象的である。
「ゼラ!大人しくしてくれてありがとうね」
武器を返された後、それぞれの騎馬にも無事に合流することができた。




