セグンの衛兵
「ようやく街に着いたな。街に入る前にこいつらを引き渡したら楽なんだがな」
シミリートの呟きが通じたのか、城門に並ぶ通行人達とは離れた城壁の前に移動するように案内される。
そして、城門から衛兵達がゾロゾロと出て来て、自分達についてくる。
盗賊達を何とか馬車から降ろして、衛兵達に引き渡し終えたのだが、いまだに自分達を衛兵達が取り囲んでいる。
「フィジ、どういうことか聞いてくれ!盗賊の引き渡しのお金も貰えていない」
「はい!」
シミリート達と同様にフィジも戦馬から降りており、徒歩で衛兵の中でも一番偉そうな人のところに向かう。
念のために悪魔ギアマに通訳させた言葉を聞いていたユリアンネも、フィジがシミリートの依頼通りの言葉を話しているのを確認する。
すると、急に態度が変わった衛兵が、フィジを突き倒す。
「何をするのよ!」
隣に一緒に来ていたカミラが屈んでフィジを助け起こそうとしながら怒鳴る。
シミリート達も近寄ろうとすると、周りにいた衛兵達が手にしていた槍の穂先を“選ばれた盟友”に向けてくる。
「どういうことだ!」
シミリート達が憤るのを無視する衛兵は、フィジに何かを吐き捨てるように告げている。
「盗賊は私たちだと申告があったそうです。きっと先に逃げた盗賊の仲間がそう衛兵に言っていたのでしょう」
「そんな!そうだとして、わざわざ盗賊として襲った相手を生かして街に連れてくるわけないじゃない!」
「シミ!どうするの?」
「う。このまま連れて行かれても安心できないが、ここで衛兵を敵に戦うと、この国を出るまで逃げ切れないだろう……仕方ないから大人しく……」




