裏街道の賊3
3人ずつ猿ぐつわを外して食事を与えていく手間が増えた、野営での食事。
「ジモの飯も、あいつらが近くにいるとゆっくり味わえないな」
「ま、あれ1人ずつが金貨になると考えれば」
「う。そうか、仕方ないな……」
「で、街に着いたらどうするんだ?」
「門番からも遠目でも分かるだろうから、フィジを連れたカミラが衛兵に先に事情を話に行ってくれ。あとは、先方の指示に従おう」
「仲間を取り戻しには来ないかしら」
「自分達より少人数の俺達に圧倒的なやられ方をしたんだから、もし来るならもっとたくさんの人数か、腕の立つ奴が必要だろう?逃げ帰った奴が、そんな話をつけられるかな」
「それもそうか」
実際、翌日にセグンの街が遠目に見えるところまで南下できても、誰かの襲撃を受けることは無かった。
「じゃ、カミラとフィジ、頼んだよ」
馬車を引く戦馬をヨルクのライズに交換した後、二人乗りしたカミラが街に向かう。
「俺たちはゆっくり街に向かおうか」
馬車に乗せられた盗賊達も大人しいままである。
「お、帰って来たな。え?騎兵が数騎も?」
カミラ達の周りに衛兵なのか騎乗した者達が付いて来ている。
「どうしたんだ?」
近くに来たカミラに声をかける。
「盗賊達が奪い返しに来るかもしれないから護衛してくれるって」
「そうか、それは感謝しないとな」
シミリート達がカミラの言葉を聞いて、衛兵達に頭を下げるが反応がそっけない。
「態度だけでなく言葉が通じないからかな」
「ま、仕方ないんじゃない?」