盗賊の後始末3
「では、私たちは再び港街セグンに向かうのですよね?」
フィジが聞いてくるが、シミリートが首を横に振る。
「いや、今日は先ほどの街に戻って一晩を過ごすことにしよう」
フィジ以外にも意図がわからないと言う顔のものもいるが、シミリートが何か考えているのだと皆が従う。
そして宿の確保をしたところで、シミリートがサンダーだけを連れて冒険者ギルドに向かう。
「なるほど、そう言うことか」
「そう、銅級に昇格するには対人戦闘の経験が必要という裏条件があるんだ。やはり国が変わっても同じようだったな」
「フィジがいなくても、流石は冒険者ギルド。隣国の風花の中つ国の言葉を片言では話せる人もいて助かりましたね」
「まぁ、昇格ぐらいならばこの衛兵の記録や鉄級の証明書を見せたら理解されると思っていたし」
「それ以外に、私だけを連れ出した意図は?」
「あ、流石はサンダー。いまだにフィジが信頼できるか分からないから、その“深海の狼”が居るセグンには行きたくないという相談をしたくって」
「なるほど。君子危うきに近寄らず」
「何だって?」
「いや、こちらの言葉ですよ。忘れて。港街セグンを迂回できる道があるか、ギルドで聞いて行こう」
先ほどの中つ国の言葉を少し話せるギルド職員に確認したところ、港街セグンの北方を通る街道があるとのこと。しかし、それは裏道なので外国人がそんなところを通ると、間諜に疑われるかもしれないからやめた方が良いとアドバイスされる。
「困ったな。宿に戻って皆と相談するか」