盗賊の後始末2
港街セグンに盗賊22人を連れて行く危険を感じたシミリートは、先ほど通って来た街の衛兵に引き渡すことにした。
「かといってこのまま待つのも暇だし、少しずつ戻るとするか」
「通訳のフィジが居ないと、彼らに意図は伝わらないわよ」
「大丈夫さ。ほら、こうやって」
後ろ手で縛られていた1人を無理矢理立ち上がらせて前に進むように身振りで指示するシミリート。猿ぐつわもしているので声を出して騒ぐことはできないが、恨めしそうな顔をしてくる。
「ほら、お前達も!」
近くにいた盗賊にも同様のことをして、それぞれを歩き出させる。
その周りを7頭の戦馬に乗った仲間達が取り囲んでいるので、悪さをできるはずもない。
そのようにトボトボ歩かせていると、向こうから幌もない馬車を2台引き連れたカミラ達が見えてくる。
「せっかちね。待って居てくれても良かったのに」
「まぁ、どうせこのまま街までついて行くことになるんじゃないのかと思って」
シミリートの心配になるほどのことはなく、フィジ達が衛兵に既に話をしていたためか、衛兵達が盗賊22人を馬車に乗せると金貨22枚を渡して来て終わりになる。
「外国の旅行者に迷惑をかけてすまなかったとおっしゃっていますよ」
「いや、気にしなくて良いですよ。それよりも、倍の人数の盗賊と相対して倒したという一筆だけ残して貰えないでしょうか」
通訳するフィジは意図がわからないが、衛兵は念のためと全員の冒険者証を確認していたからか、素直になるほどという顔をして、羊皮紙の切れ端にそのメモを名前入りで書いてくれたようである。