盗賊の後始末
「で、こいつらをどうする?」
「確かに、生かしておいた方が奴隷として売り渡せるのだけれど、連れて行くのも面倒だよな」
シミリート達が盗賊を圧倒した後は、武装解除して縛り上げた男が22人、そこに座り込んでいる状態である。
「フィジ、一応、こいつらの拠点などを確認しておいてくれるか?」
シミリートがフィジに指示するとともにユリアンネに再び悪魔ギアマに通訳させることを目配せしてくる。
「やはりロクな武器を持っていない。つまらないなぁ」
ヨルクが取り上げた武器を一つ一つ確認するが、溶かして素材にするにしても錆も多くて、迷宮都市トリアンまで持ち帰るのも微妙な感じである。ユリアンネも≪簡易鑑定≫の練習として念のために確認するが、分かっていたとおりロクなものはない。
「こいつら、今から行く港街セグンに拠点があるみたいですよ。船にも乗らせて貰えないくらいの実力の人たちが、こんなことをやっているようで」
「それって、船に乗るのは海賊ってことか」
「海賊っていうのですかね。一応は国に認められた、敵に対してだけの略奪行為って。あれ、何ていうんでしたっけ」
「私掠船ですよね?」
「流石はサンダーさん。お詳しいのですね」
何か面倒なことに巻き込まれる気配を感じるシミリート達。
「で、こいつらの組織の名前は?」
「“深海の狼”って言うようですよ」
「ここからセグンまで連れて行くと、その何とかの狼っていうのに目をつけられるよなぁ」
「仕方ない。フィジとカミラ、そのまま一つ前の街に戻って、事情を説明して衛兵を連れて来てくれ」




