ハンソク王国の旅3
そして、ハンソク王国のちょうど中間点になる港街セグンの手前。
「これはどうしたものかな?」
「ま、普通に倒せば良いんじゃないの?」
「言葉の通じない国で、俺たちが防衛側だったと証明できるか?」
「ほら、あいつらの格好を見たら、きっとあっちが賊だったと分かってくれるわよ」
確かに、街道で一行を取り巻く20人ほどの盗賊達の格好は、お世辞にも上等とは言えない。刃こぼれしたような剣を抜いて振り回している男も何人もいる。
「フィジ、一応はあいつらに言って貰えないか?俺たちの装備を見たら、自分達が敵う相手かわかるだろう?馬を見てもって」
「シミリートさん、装備はローブで見えていませんでしたよ、今までは。それに、それって挑発にしかならないと思いますけれど」
「いや、一応は降伏を促したということをフィジに説明して欲しいからな」
「なるほど」
シミリートがユリアンネに目配せして来るので、悪魔ギアマにフィジの発言内容を確認するが、特に怪しいことは無い。その旨をフィジにはわからないように大声で言う。
「みんな、大丈夫よ。遠慮なくやりましょう」
「ユリの言うとおりだ。殺さないように、金貨を貰うことにしよう!」
「お、上等な焼肉とキムチだな」
「フィジ、通訳しないで良いからね」
カミラは、後ろで二人乗りしている非戦闘員のフィジがいるので、その場を動かない。ユリアンネ、ドロテア、ゾフィがその近くに寄ってきて、その場から魔法や矢を放つ。
男性陣でも、ドワーフらしく背の低いヨルクだけは賊が集まっている近くまで移動した後は、馬を降りて戦斧を振り回す。
他の男達は騎乗したまま、特に短槍という片手剣よりは馬上でも扱いやすい武器を手にしたシミリートが次々と敵を倒していく。