成人祝い2
友人たち、父姉からの成人祝いを貰った後、師匠であるオトマンからのプレゼントになる。
「感動の後にはちょっと、だけど。ユリちゃん、成人おめでとう。これからもよろしくね」
「え!?これって?」
渡されたのは黒色の腰袋、ポーチであったが、手を入れてみると奥行きが見た目と違う。
「そう、魔法の収納袋だよ。見た目と違って1辺が1mの立方体の広さがあるよ。収納した物も外と同じように時間経過はしてしまうのと、利用者制限まではできない物だけど」
「そんな上等なもの!」
「うん、冒険でも役立つだろうし、書籍は重いからね。書店員としての仕入や納品でも上手く活用してね。ギリギリ、ユリちゃんの杖も仕舞えるよね」
「うわ、ユリ、良いなぁ!見せて」
「これでポーションの持ち運びもたくさん出来るようになるわね!」
「カミラ!」
ゾフィたちが恐る恐るアマルダの顔をみる。
「あら皆さん、私も分かっているのよ。ユリの薬師の腕が良いこと。でも私も“木漏れ日の雫亭”の後継者、まだまだ腕を磨いて成長するから見ておいてね」
アマルダが屈託のない笑顔を見せる。
「お姉さん……」
「さぁさぁ今日はユリちゃんの成人祝い。皆しっかり食べて飲んでくださいね」
師匠であるオトマンが用意していた豪華な食事が振る舞われる。ユリアンネの子供の時の失敗談や、皆と違う世界の衛兵団に就職したシミリートの話などで盛り上がる。
「どうした?はじめてのお酒を飲み過ぎたか?」
「お父さん……」
涼みに庭のほとりに来たユリアンネに話しかけるラルフ。
「引き取った後すぐにルイーサも死んでしまい、ユリには辛い思いをさせてすまなかった。ただ、仲間や師匠に恵まれたのを見てルイーサも安心しているだろう」
「お父さん……」
「さぁ主役がいつまでも不在だと皆が残念だろう。戻ろうか」