未知の食べ物2
「なかなか良い肉を出す店だよな」
ヨルクも満足する焼肉の味である。
ジーモントも含めて皆が頷く。
「あら、嬉しいわ。選んだ甲斐があるわね。でも、次を楽しみにしてね」
ある程度の肉を食べたところで、フィジが企んでいる食べ物が来るようである。
9つの器に入れられて配られたもの。初めて見る人には、真っ赤と思ってしまう食べ物である。
よく見ると少しだけ萎びた感じの野菜にも見えて、風花の中つ国でも食べた漬物のようにも見えるが、こんな目に鮮やかな赤色ではなかった。
「何だよ、それ!」
「いや、白菜か、これは」
「流石、ジーモントさん」
フィジが気づいたジーモントを褒めながら、まずは食べてみることをすすめて来る。
すでに中つ国で慣れた箸で、この店でも食事をしていた皆だが、その箸を新しく来た器にのばすのはためらっている。
「いや、せっかくだから」
ジーモントが、そしてヨルクが赤い物体を口に運ぶ。
「う!辛い!」
「そうでしょう?ハンソク王国のおすすめのキムチというのよ。でも、慣れたら病みつきになること間違いなしよ」
フィジが、してやった!という顔をして他の皆にもすすめて来る。
ユリアンネは前世記憶があったので何物かは分かっていたが、実際に食べてみると日本で食べやすくされていたキムチと違い、本当に火が出るような辛さであった。すぐに白ごはんを口に足してしまう。
「いや、確かにうまいぞ。焼肉、キムチ、白ごはん。いくらでも食べられるぞ!」
ヨルクの食に対する順応力の高さを羨ましく思う仲間達。