未知の食べ物
ハンソク王国の言語を知らないユリアンネ達は、街を歩いていても見た目でわかる程度にしか、何の店かを知ることができない。
それをわかっているのか、フィジが連れてきた店は店内から煙が溢れている店としか、外からは分からないので、微妙に不安になる。
「これは、肉を焼いている匂いだな。この煙も」
「確かに。なかなか脂のいっぱいの肉だから、オーク肉かな」
ヨルクとジーモントが反応しているのをフィジが確認してニヤリとしている。
「ここにするわよ」
「まぁ、変なものを食べさせるわけでもないだろうし」
店内に案内されても、密閉された個室にはなっていないが、間仕切りのおかげで他人の顔や食べているものまでは見ることができない。
「うぉ、うまそうな匂いがますます。早く食べよう」
ヨルクが嬉しそうにしている。
自分達が9人と大人数なので、奥の大きなスペースに案内されるのに従って進む。
「さぁ、おすすめをどんどん持って来て貰おう」
席に着いた途端にヨルクがフィジに身振りも込みで頼む。
言葉もわからないので店員の説明を聞くまでもないのは確かであり、皆も追認する。
「じゃあ、私が注文するわね」
フィジがまたニヤリとした感じで、店員に色々と注文していく。
その横で、ヨルクが待ちきれないという感じで、目の前の大きな七輪のようなものに火をつけ出す。
ヨルクが面倒を見ることになると思われるテーブルと、ジーモントが仕切るテーブルの4人と5人にわかれている。
最初は普通に生肉が出て来たのを、予定通りヨルクとジーモントが網に並べて焼いていく。白ごはんもついて来ており、ユリアンネも満足しながら食べ出す。