経路確認
風花の中つ国の海岸沿いを戦馬に騎乗して北上している“選ばれた盟友”の8人。今回、サンダーが増えたので8人である。
迷宮都市トリアンで冒険を始めたときは6人だったが、ドロテアとサンダーが増えて来た。
「で、次のハンソク王国ってどこかで聞き覚えがあるのだけれど?」
「カミラ、忘れたの?あの、海路の途中にあった中継島の賊たちの背後って話」
「あの、なんだっけ?国家公認の海賊みたいなの」
「私掠船でしょ?敵国の船を攻撃して略奪するのを国が認めたものだから、その略奪戦果の一部を国に納めたら、港なども安心して使えるらしいわね」
「流石はユリ!」
「で、サンダーに聞きたいのだけど。風花の中つ国とハンソク王国は戦争しているの?」
「いえ。あ、いいや。戦争までは。ただ、そんなに仲が良いとは言えないかな」
「その関係性で中つ国に向かう船を襲って来たのだから、私掠船の奴らが好き勝手をやりすぎたのか、ハンソク王国が面倒なことを考えているのか」
「ユリ!俺たちはそんな政治のことなんて関係ないだろう?気にはしつつ、さっさと通り抜けていこうぜ」
「そうね、その先には北方諸国家群ね。小さな国がたくさんあって。それを越えるとビザリア神聖王国ね」
「私たちはとにかく通り抜けながら、商売のネタになるような何かが分かれば良いのだから、考えすぎない!」
カミラが締めくくるが、ユリアンネは微妙に不安が残っている。しかし、考えても仕方ないのは確かなので、頭を上げて笑顔を皆に見せる。