ツキノハラから帰国2
「皆に相談がある」
「テアがまだ来ていないけれど良いの?」
「あぁ」
シミリートは、ドロテアを除いた仲間達に、サンダーが一緒にツキノハラを出ていく話を相談する。
「良いじゃない!頼もしいわよね」
「あぁ、テアも憎からず思っている感じだよな。この後にどうなるか分からないが」
「ジモ、いつの間にそんなことを」
「いや、この前に話があったし。それからは料理しながら……」
「私たちにとっては良い話だけれど、このツキノハラの人達はどう思っているの?」
「シャドウとフェザーには先に相談した。そして彼らの父である長にも相談して貰って許可は出ている。まぁ、2人で戻って来て欲しいという希望は聞いたが、それは本人達に任せると言って貰っている」
「ならば反対する理由は無いわね」
「じゃあ、テアには誰から話をするの?」
「え?俺じゃないの?」
「シミなら余計な言い方をするでしょう?今は繊細な時期なんだから」
「じゃあカミラが話してくれるのか?」
「いえ、一応は契約上の主人であるユリに任せるわ。でも、単にサンダーが一緒に旅に出て、戻ってくるかも自由というだけよ」
「……分かったわ」
うまく説明できればなんでも無いことであるが、何か責任重大なことを任された気がするユリアンネ。
「あ、テア。今いい?」
「はい」
「あのね、サンダーが私たちと一緒にこのツキノハラを出て旅を一緒にするって。世の中を見たいらしいの。ここに戻ってくるかは未定だって」
「あ、そうなんですね。分かりました」
喜んだのかすらも表情から読み取れないユリアンネではあるが、役目を果たしたとの安堵だけはある。