ツキノハラから帰国
皆が修行の仕上げに入っている中で、やはり時間的に余裕があるシミリート。
それを分かっているのか、リーダーであるからかサンダーから相談を受ける。
「シミリートさん、私も皆さんと一緒にこのツキノハラを出て行っても良いでしょうか?」
「……もう戻ってこないつもりか?」
「いえ、そこまでは決めていません。ただ戻らなくても私は長男ではありませんので」
「とは言っても、あの九字だっけ?それに刀の扱いも」
「後継者は他にもいます」
「目的はテアか?本気ならば、きっとユリ達もテアがこのツキノハラに残ることは許可すると思うぞ」
「ドロテアさん自身の気持ちはまだそこまでではないと感じています。それに、皆さんを見ていて、自分がいかに井の中の蛙だと思い知らされました。外の世界を知り成長したいのです。その過程で、ドロテアさんとの関係も変化するかもしれませんが」
「欲張りだな」
「そうですね、私も自分がそこまでとは思っていなかったです」
パーティーの皆への相談の前に、シャドウとフェザーに相談をするシミリート。
「俺としてはサンダーの意向を尊重してあげたい。俺たちで役に立つならば一緒に外の世界を見せてやりたい」
「そうか……」
「あの方は何に関しても色々とできるので、何かに対する熱量を持つことがないと言われていました。もしこのツキノハラに戻らないとしても、自身で望まれる道ならば良いのではないでしょうか。もちろん、ドロテアさんと一緒に戻って来て欲しいですけれどね」
「……変な奴は、いくら外の血と言っても要らない。でも、お前達のうち誰でも歓迎だ」
「ですから、そうなるかは分かりませんよ」
「そうだな。でも、サンダーのために良いことだろう」
「二人ともありがとう!」