ツキノハラから帰国準備3
その頃、意気込んでお世話になっている刀鍛冶のところに駆け込んだヨルク。
作りかけであった刀を仕上げるつもりで、悪魔ギアマ経由で色々と教わる。
そしてようやく完成したのが2振りの刀。
「ヨルク、よくやったな。まぁこの短期間なのにここまでよく頑張ったぞ」
師匠にも褒められ、今の自分なりに納得できるところまでできたつもりであるヨルク。
よく見比べて出来が良い方を選び出す。
「ここで学んだことへの感謝も込めて、こちらの良い方、真打を神に奉納したい」
「ほぉ」
「そして、少し劣るがそれでも自分なりには頑張った影打は持ち帰ることにする」
「俺たちの文化を理解したことはよく分かった。だが、今回は真打をお前が持って行け。今できる一番の成果を親父殿に見せてやってくれ。お前に教えたもう一人の男として、最上位のものを見せてやって欲しい」
「しかし……」
「良いんだよ。俺たちの神様もそれくらいのことは分かってくれるさ」
「へぇ、ヨルクが打った刀か。すごいじゃないか!」
「シミ、私にも見せてよ」
「ユリ、鑑定魔法はしなくて良いからな。自分でも分かっているから」
「ヨルク、私もそんな無粋なことはしないわよ。でも、この短期間でよくここまで……」
すでにある程度のことはわかるようになったユリアンネなので、上位、中位、下位までの区分はできないが中級ということは分かってしまっている。しかし、元の鍛冶技術があったとしても、刀鍛冶として短期間にここまでになったヨルクの力に素直に驚く。
「ヨルクだけでなく、私たちもそれぞれある程度のものは作れるようになったのだからね」
カミラとゾフィが張り合って自分たちの作品を見せてくるが、そちらについては目利きの力もないので、適当な褒め言葉になってしまい拗ねられてしまう。