ツキノハラとの別れ3
「将軍の使いって何だよ。この国の偉い人だろう?」
「はい、この国の運営をされている方です」
シャドウではなくフェザーが詳しく説明をはじめる。
「他国からの皆さんが、悪魔の件、そして色々なダンジョンで活躍されている話がありましたので、冒険者ギルドもそれ用に便宜を図っていただきました。それらの動きは当然に政治の中心である将軍様の元にも伝わっていたと思います」
「でも……」
「はい、強い冒険者の方が他国から来て活躍されただけ。いえ、悪魔の件だけでもひょっとして、でしたが。今回のオーガ村の件、そして龍神様の貨幣の献上で、このツキノハラに使者が来るのは確実だろうと」
「背景はわかったけれど、そんな偉い人の使者に会うなんて面倒としか思えないわ。まだ来られないわよね」
「はい、今日明日に来られるようなわけでは」
「じゃあ、会う前にツキノハラを出るわよ」
カミラが率直な意見を言ってくれるのに、皆が頷いている。
「はぁ。まぁお引き止めできることではありませんし。その旨も父達に伝えておきますね」
「絶対よ。お願いね」
「わかりました。では、皆さん。この国の貨幣を両替していかれた方が良いですよね?」
「でも、そんなに他国の貨幣はないわよね?大きな魔石とか宝石とか金の塊とかにできるかしら」
「もちろん。それでしたら、他国でも使えますよね」
「じゃあ、みんな。終わりが見えて来たらかそれぞれの師匠のところで最後の教えをお願いしてくるわよ」
「じゃあ、俺も刀鍛冶の仕上げに行くか」
ヨルクは多くの刀を見た経験も踏まえて、鍛冶への意気込みが見える。