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【書籍・漫画化】転生薬師は迷宮都市育ち  作者: かず@神戸トア
元薬学部受験生
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麻薬騒動の後

「ユリ、聞いてくれ!」

シミリートが“オトマン書肆(しょし)”に駆け込んでくる。

「どうしたの!?この前の麻薬騒動の続き?」

「それもあるが。二等兵から一等兵に昇格したんだ。武技などの実力に合わせて、この前の潜入捜査の手柄だって。ユリのおかげだ、ありがとう!」

「それは良かったわね。私にとっても悪徳薬師の店舗が1軒でも減って良かったわよ」


「それと残念な話が」

「どうしたの?」

「その薬師、牢屋の中で死んでいた。背後関係を知るのは薬師だけで、あとは何も知らなさそうな単なる作業員たちだったのに」

「どういうこと?」

「多分、あの薬師を操っていたのは貴族や大物商家と見込んでいたのに。口を割られると困るから刺客に殺されたのか、口を割ってしまったら酷い目に遭うと自殺したのか。証拠はないのだが、多分殺されたんだと思うが、そうなると衛兵団の施設で簡単に殺しができるなんてどんな力がある奴が後ろに居たのか……」

「……」

「協力者だったユリも、念のために気をつけてくれな」

慌ただしく去っていくシミリートを見送りながら考えるユリアンネ。

今回のことが単なるトカゲの尻尾切りで、同様のことがたくさん行われていると考えると気持ちが落ち込む。前世記憶でも麻薬の撲滅は簡単でない認識である。自分でもできるところからやるつもりである。


そのユリアンネの目線の先には、銀貨が何枚か入っていると思われる小袋が残されている。これは先ほどシミリートが、捜査の協力金と言って置いていった物になる。

あまり喜んで受け取れるものではないので、そのお金で解毒薬の材料を購入して調合した物を麻薬中毒者がいると聞いた治療院の入口に、解毒ポーションの旨を書いてこっそり置いていく。自己満足であるという認識はあるが、薬師の自分ができることの一つである。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「解毒ポーションの旨を書いてこっそり置いていく」 日本だったら、こっそり置いて行った薬なんて、怖くて誰も飲まないだろうな。ここでは、鑑定で確かめてから使うのかな。
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