オーガ村の戦果
「とりあえず、オーガの死体から角と魔石は取り出したわよ」
「村長宅以外の家屋には目ぼしいものは無かったわ。せいぜい、食べた獣と思われる牙や骨とかがあったくらいね」
一応、その牙などもカミラが細工の材料にするために回収はしておいたようである。
「じゃあ、村長宅ね。死体は片付けてあるから、しっかり調べましょう」
このオーガ村は後できちんと燃やして、すぐには再利用が難しいようにするつもりである。しかし、巡回に出ていたオーガ達が残っていて、彼らが意図しない時に戻ってこないように燃やすのは後にする予定である。
「これって、魔石も見えるし、魔道具だったんじゃない?」
「もしかして、シミが受けた炎の攻撃って、これだったのかな。そうすると、村長が戦う時には魔法を使わなかったのも納得できるわね」
「確かに、何か特殊効果があることは≪簡易鑑定≫でもわかるけれど」
「おい!これは!」
ヨルクが村長宅の奥から箱を重たそうに持ってくる。
「見てみろよ」
蓋を開けると中には金貨も含めた貨幣と思われるものが大量に入っていた。
「でも、見覚えがないわよ。これって今の風花の中つ国の貨幣でもないのね。あ、これは今のと同じね」
「あ、これは昔の貨幣も混ざっているかもしれないです。オーガにやられた先祖達から、刀と同じように奪ったものかもしれないですね。でも、彼らには使い道がないから溜まっていったと」
「これって何かの動物かな?」
「いえ、これは龍神様ですね。龍が刻まれた金貨なんて、将軍家にでも献上しないと、ツキノハラにて保管するには荷が重いですね」