オーガ村へ3
遠隔攻撃では仕留められなかった門番のオーガ2体に対して、駆け寄ったシミリート達が各々の得物を手にしてとどめをさしていく。
「何か叫んでいたようだが、敵が押し寄せる感じは無いな」
「仕方ないから、一軒一軒の中を確認するしか無いわね」
「隠れている奴に襲われるかもしれないから、盾のある俺と、力のあるブラックとスカイが中に入るか」
残りのメンバが周りを警戒するなか、家と呼べば良いのか、丸太などの木々を組み合わせた感じの構造物に、村の入口の近くから順番に入っていくシミリート達。
最初の3軒には誰もいなくて気が緩んだ4軒目で、中に入ったシミリートに襲いかかるオーガ2体。
「うぉ!」
「油断しちゃダメよ!」
奥にまで入り切るどころか、入り口付近だったので、すぐに屋外に逃げ戻ったシミリート。仕方なく屋内からついて出てきたオーガはいずれも子供に近い身長であったが、ここでは倒し切るしかない。
「何となく……」
「ユリ、気にしてはダメだ。将来、ツキノハラの子供達が襲われることを想像するんだ」
「そうね、シミの言う通りね」
割り切れるわけではないが、頭では理解した状態で、他の家の探索を続ける。
シミリートも一度ミスをしたため、それ以降は油断していないので、オーガが待ち構えていた家屋に当たっても、今度は怪我することなく対処ができている。
家屋に隠れていたのは、女性体や少年のような体格の男性体ばかりであり、気が滅入る。
各々の家に急いで回収するべきものがあるとは思えず、順次村の奥に進んで行く。最終拠点と想像される、村長宅のような他とは大きさの違うものが見えているからである。