オーガ村の攻略準備3
仲間達を取り囲んでいたオーガが見えたのに、倒れてしまったユリアンネ。
シミリートが自分を呼ぶ声は聞こえたが、完全に目線は地面を向いた状態である。
「あ」
慌てて両手をついて頭を上げようとしたところに、オーガが迫って来る。完全にやられたと思った瞬間、土で出来た壁が目の前にできる。
「ユリ!」「この野郎!」
壁魔法を発動させたストームに、別のオーガが斬りかかるのを見たシミリートがそのオーガに≪刺突≫の短槍を突き出す。
壁のおかげでオーガの突撃を防がれたユリアンネは、立ち上がると共に≪氷結≫≪氷槍≫を発動して目の前のオーガの動きを止める。
その後は、単なる殲滅戦になる。
「逃すか!」
シミリートが、離れようとしたオーガを追いかけて槍で突き刺したことで戦闘は終了となる。
「皆、無事!?」
ユリアンネが怪我の大きそうなスカイ、ヨルクから順番に≪回復≫魔法を発動していく。ドロテアも、魔力回復ポーションを飲んだ後、サンダーなど目についた怪我人に対して≪回復≫魔法を順次発動している。
「助かったよ。みんなありがとう」
シミリートが代表してお礼を言う。
「やっぱりオーガ5体はしんどかったな」
「俺たちの方も5体だった。やはりオーガの村に近づいたからか」
「ほら、こっちにも女オーガが混ざっていたわ」
自分達の方にも女性体が混ざっていたことを共有し、村には子供のオーガがいる可能性も話すカミラ。
皆の治療が終わり息が抜けて座り込んでいるユリアンネ。走る体力も要るかなとぼんやり考えていると、シミリートがストームのところに行って、両手でストームの手を握ってお礼を言っているのを見る。なぜか少し照れてしまったユリアンネであった。