麻薬騒動2
シミリートの上司が見つけた大麻の中毒者を衛兵団の拠点に連れて来たところで、どんな薬を与えたら良いか知見がないのと、まだ周りに情報を漏らしたくないので、分隊員だけで相談した。衛兵団の中にも信用できない者がいるというので、団の中の医局にも頼っていない。
シミリートが持ち歩いているユリアンネの解毒ポーションを試しに使用すると、中毒者は正常に回復し、経緯を話しだした。
ある薬師の店舗で疲労回復薬を買ったが、効果を実感できなかった。文句を言いに行くと「薬という物の効果や副作用は人によって異なるのは当たり前。じゃあ今度はこちらを」と言われて次を買ったのがはじまり。確かに飲んだときには高揚感があり感覚が繊細になった感じがあったが、効果が切れるとまた欲しくなり、だんだんもっと強いのが欲しくなっていった。この段階で単なる薬ではないことに気づいていたが、もう止められなくなっていた。
その薬師からは「もう売れない。欲しければ誰かを紹介しろ」と言われ、知人に元気になる薬と紹介をはじめたら、こうやって捕まった。
「という経緯になります」
一旦の説明が終わったところで一息をつくマンファン伍長。
「それで私は何をすれば良いのでしょうか?」
「鑑定能力もあると伺っています。その店舗の薬の品質の確認、そして潜入捜査をするシミが万が一に麻薬を飲まされてしまった時の解毒ポーションの提供などになります」
鑑定能力まで漏らされていたことでシミリートをにらんでいたユリアンネだが、潜入捜査のくだりではそんな危険なことを!という目でシミリートを見る。
「誰かがやらなければいけないことなんだが、ユリの解毒ポーションの効果を信じることができるのは俺だしな。分隊の皆さんが居るからそんな危険なことにはならないよ」
楽観すぎるシミリートにため息を吐きつつ、断ることはできないと諦める。