オーガ村への接近3
「シミ!?」
「あ、あぁ。もう大丈夫だから。ユリのポーションとテアの回復魔法で傷は治っているから」
「何があったの?」
気をつけて探索していたつもりのシミリート達。それでも注意が足りていなかったようで、オーガ2体と遭遇した際に先手を取られてしまったとのこと。
「昔にツキノハラの人達から奪ったのか、一緒に魔素から生み出されるのか分からないが、刀の使い手が2体でな」
「私の弓矢は近づき過ぎて上手く射ることができず。で、シミが敵2体を引き受けるように前に出てくれたのだけど」
「いや、ゾフィも≪斬撃≫のショートソードで頑張ってくれていたじゃないか」
「ううん、やはりちゃんと訓練していない片手剣では役に立っていなかったわ。それよりもテアが頑張ってくれたのよ。石の球をぶつけて気を逸らしたり大きな炎の壁を出してくれたり」
「おかげで何とか2体とも倒し切れたけれど、俺はそれなりに怪我をして。でも本当、傷は治っているから。帰り道に狼とも遭遇して、面倒な戦いをしたから横になって休んでいただけだよ」
心配させられたユリアンネはシミリートを叩いて、カミラ達の方を見る。
「えぇ、この拠点を襲ってくるものは居なかったわ。見た感じユリ達も大丈夫そうね」
自分たちは狼程度としか戦っていないことを共有する。
ゾフィからの班わけを見直して欲しいという言葉から、次の日はスカイがシミリート達の班に移動することになった。スカイは弓も使えるが、元々たくましい肉体であり接近戦も安心できる。ただ、ゾフィの饗応役でもあるので、ヨルクはなんとなくモヤモヤする。