オーガ村への接近2
「じゃあ、どちらの班も無理しないでね。ちゃんとここまで連れ帰って来たら、皆で対応するのだから」
カミラの声を受けながら、シミリート達3人とユリアンネ達4人が拠点を出発し、オーガの探索に向かう。
「シミ、残念だったわね」
「ゾフィ?な、なんのことだよ」
動揺を隠すことはできていないシミリートだが、敵地の探索であるので、周りの様子を見ながら慎重に進むことは継続している。
「全くあんたも成長しないわよね。テアもそう思うでしょう?」
「はい。いえ」
「どっちよ。まぁ言いにくいでしょうけれど」
「無駄話はやめて、周りをちゃんと見ながら進めよ」
「はい、はい」
一方、ユリアンネ達の班は、シミリート達とは別方向にある程度進んだところで止まる。
「じゃあ、いったんここで止まってね。周りを確認するから」
ユリアンネが、魔銀の使い魔であるシルヴィスを、腕輪から小さなワイバーン形状に変えて偵察に送り出す。
「森で木がいっぱいだから、この中をオーガが歩いていても分かりにくいわね……オーガの村らしいものも近くには無いし」
「あまり遠くを探しに行くというよりは、まず進行方向にオーガが歩いていないか確認する方が良いのでは?」
「そうね、ストームのいう通りね。ちょっと待ってね」
オーガらしいものは近くにいなかったが、森狼を事前に発見し、それぞれの遠隔攻撃の手段を用いることができたので、安全に進むことはできている。
「今日のところはこれくらいで戻りましょうか」
きりの良いところで拠点に戻ったユリアンネ達は、力なく倒れているシミリート達を見つける。