オーガ村への山脈3
ヨルクの希望通り、かまどを作ってオーク肉を用いた夕食とする。
「この辺りはワイバーンの領域も越えましたし、オーガ村には距離があるので安全と思いますが、油断しないようにしてくださいね」
麓の方にあるというオーガ村の方から火が見えないようにかまどを作ったつもりだが、夜になれば灯りが見えてしまう可能性もある。
緊張しながらの夜の見張りを交代する一行。
「来たぞ!起きろ!」
テントまでは張らずに、ローブやマントなどにくるまって寝ていただけの仲間達は、敵襲の警告音や声で起き、自分の得物を手にする。
「狼だ!」
この山脈でも何度か遭遇していた灰色狼であり、単体ではDランク魔物である。しかし、狼らしく集団行動が得意でありそうなるとCランク魔物相当の脅威になる。
「くそ!人の睡眠を邪魔しやがって」
「そんなこと言って油断しないの!」
せっかくかまどの火が麓から見えないようにしたので、火魔法だけでなく≪灯り≫や≪照明≫などの光魔法も使用を控える。
「暗いから投擲や弓矢は控えて」
色々と制約もあり実力を満足に発揮できないが、護衛対象がいなく全員が戦闘に参加する11人だったので、約30体いた狼に対しても大怪我することなく対処することができた。
「火は使わなかったのに、こんなに毛皮に傷が付いて」
「ゾフィ、そうは言うが、暗い中でこちらより2倍や3倍もいた相手なんだから」
「それは分かっていても、もったいないと思ってしまうのよね」
そのままにしておくことで、その血の匂いで別の魔物を呼び寄せると面倒なので、いったん魔法の収納袋に全てをしまっておいて、明るくなってから解体することになる。




