ミノタウロスダンジョンからの帰還2
「皆さん、流石ですね!」
集落ツキノハラに戻り、ミノタウロスダンジョンを踏破し地図を完成させたこと、そして最奥の宝箱から魔法の刀を入手して来たことを報告する。
「フェザー、この刀だけど私達では使いこなせないし、案内をしてくれていたサンダーさんに譲りたいのだけど、大丈夫かな?」
「え?よろしいのですか?皆さんも刀を欲しがっていたのに」
「欲しいけれど、サンダーさんほど有効活用できそうにないから」
“選ばれた盟友”の総意である。やはり刀自体も、所有するだけでなく使われることを喜ぶであろうから、と。
「サンダーもとても喜ぶと思います。ただ、そのまま頂くわけにもいきませんし、完全な地図の作成、ミノタウロス自体の討伐、そしてダンジョンコアの回収によるしばらくの魔物氾濫の抑制。様々なことへのお礼と合わせて報酬を用意させていただきますね」
「ここでずっとお世話になっているから、そのお礼でもあるのよ」
「いえ、そもそも封印していた悪魔ギアマの件も含めて、皆様にはお世話になっているので。それにこの集落で技術交流は私達の方にも恩恵があるのですから」
お礼をお礼で返す日本的なやり取りに思えて笑ってしまうユリアンネ。
フェザーには怪訝な顔をされるが、カミラが助け船を出してくれる。
「ま、良いのよ。お互い様ということで。ダンジョンにこもっていたから美味しいものが食べたいし、まだまだここで買いたい素材もあるからお金は貰えたら嬉しいわ」
「わかりました!」
野営での限られた食材での食事と違い、色々な料理を楽しめるのはヨルクに限らない。それに冒険者ギルドの出張所に討伐素材を提出したこともあわせて、多めの金銭を入手してほくほく顔の仲間達。
「練習の仕上げ確認にもなったし、良い探索だったな」
後ほど教えて貰ったところ、サンダーに譲った魔法の刀は≪修復≫の付与がされていたようである。ヨルクがその付与方法を覚えて欲しいとユリアンネに無理を言うおまけもついて来た。
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