ミノタウロスダンジョン最奥3
ミノタウロスダンジョンで唯一見つけられた宝箱である。
しかもダンジョン最奥のダンジョンコアのところにあった宝箱であり、期待が高まる。
「罠があるかな?」
「でも、解除する技術を持った人は居ないし」
「じゃあ、これで」
ヨルクが、金属部を解体する前のミノタウロスリーダーのバトルアックスを差し出す。皆が頷くのを見て、ドワーフらしく低身長ながらの力強さでそのバトルアックスを宝箱の正面に叩きつける。
「もう一度」
それを何度か繰り返すと、もともと施錠されていたかも分からないが、普通に蓋を持ち上げられると思えるくらいには損壊する。
何かが飛び出してくるとしたら正面側と思われるので、宝箱の後ろ側からシミリートとジーモントが盾で少しは自分を守りながら、蓋を持ち上げる。
念の為に離れていた仲間達も、何も飛び出してくる気配もないので覗き込みに行くと、大きな箱の底に細長い布袋があるのが見える。
「なんだろう、これ」
シミリートが遠慮なく手を伸ばして取り上げる。その上で、片方の端の方に巻かれていた紐を解いて行く。
「あ、これは」
布袋から出て来たのは刀であったが、装飾も普通の感じであり、特に高級感は無い。
残念に思いながら念の為にユリアンネが≪簡易鑑定≫魔法を発動する。
「え、これ高級低位だけれど特殊効果がついているわ」
「え!見せてくれ」
ヨルクが鞘から抜いてみた刀身を見ても傷は無いようである。
「私にもぜひ拝見させてください」
刀となるとやはりサンダーも気になるようである。