ミノタウロスダンジョン最奥
「きゃ!」
「カミラ!」
「大丈夫よ!」
ミノタウロス達の方が数が多く、こちらは投擲などの練習に注力していたため、接近を許してしまい、太い棍棒による打撃をカミラがショートソードで受け損なう。
周りからも助けに行こうとするが、自分の前にも敵が居るため余力はない。
「シルヴィス、お願い!」
ユリアンネが、日頃は腕輪にしている使い魔に命じて、小さなワイバーン形状に変化させて助けに行かせる。
命令を受けたシルヴィスは、自身のミスリルの硬さを活かした頭部による突撃でミノタウロスの胸に穴をあける。
「ユリ、助かったわ。ありがとう」
カミラが無事に起き上がり、隣のゾフィに相対していたミノタウロスに横からショートソードで攻撃を行う。
「あ、失敗!」
ユリアンネはいつもの癖でシルヴィスを行かせてしまったが、今回は新たに学んだことの練習だったのである。早速、陰陽師のサンに教わった簡易式神の、人型の紙を取り出して、ミノタウロスリーダーへの攻撃を命令する。
小さな子供のような姿になった式神が敵の背後に出現して、その背中に突撃をする。
ミノタウロスリーダーも思わぬところからの攻撃に気を取られてしまったようで、その隙をついたシミリートの短槍の≪刺突≫をまともに受けてしまう。
「よし!いいぞ、ユリ」
その他の仲間達も、投擲は手持ちを使い切ってしまい、魔剣によるいつもの攻撃に専念することで、本来の実力を発揮して自分が相対するミノタウロスを圧倒していく。