欲求不満
特に怪我をすることもなく、オーク達を相手に最近に学んだことの実践訓練をした“選ばれた盟友”の仲間達。
この集落には冒険者ギルドの拠点も無かったが、最近の活躍などを踏まえて近くの街から出張所を作って貰えているので、そこで成果の報告なども終わらせてある。
「でもねぇ」
「うん」
集落に帰って来てそれぞれ技術交流や訓練を続けているが、今ひとつ不完全燃焼というか欲求不満な感じである。
「なんだかんだと言って、冒険者としての探索が楽しいのよね」
「職人の技術習得もありがたいし楽しいのだけど」
「この前のオークでは物足りなかったのよね。あのダンジョンも」
「トリアンの最後の方みたいに泊まり掛けでのしっかりした冒険がしたいのよね」
「この集落での暮らしも良いのだけど」
そこで、オークダンジョンを紹介してくれたサンダーに相談してみる。
「悪魔ギアマを封印していたダンジョンでの、皆さんの実力を踏まえると確かにDランク魔物のオークでは物足りないのは確かかと。Cランク魔物のミノタウロスのダンジョンもあるのですが、我々でも全容は把握できていないのと、確実に泊まりがけになるのですが大丈夫でしょうか?」
「そんなのもあるんだ。望むところよ」
「それに、それならばユリが地図を提供すれば集落の人達も喜ぶわよね」
「カミラ、自分では書かないのに……」
「適材適所って言葉があるでしょう?」
「ユリの適所が多すぎで頼り過ぎだよな……」
「ま、まぁ。私ができることはやるから。それより、ミノタウロスって噂でしか知らないけれど、首から上が牛みたいな魔物よね。斧を振り回すイメージだけど」
「はい、棍棒を持つのもおりますね。大きな体格で力が強いのが特徴ですね」
今回もサンダーが集落の人たちを説得し、そのダンジョンに向かうことの許可を調整してくれる。