オークダンジョン2
「ほら、来たぞ」
先頭を歩くジーモントが、オーク2体に遭遇して声を上げる。
事前に意識合わせしたように、最近の訓練内容の腕試しであるため、まずはヨルク、カミラ、ゾフィの3人が投擲を行う。前列のシミリートとジーモントは盾役のまま攻撃をせず、後方から投擲しやすいように身体を逸らしている。
「あれ?」
「うーん」
実際の戦闘では思ったように投擲できないようで、各々の手持ちを投げ切った後は、ジーモント、シミリートの順に投擲を行う。
そして最後にシミリートが練習中の武技でとどめを刺す。
「当然だけど、敵が動くだけでなく前列の味方が居ると急に難易度が上がるわね」
「ま、仕方がないよな」
「今度はユリとテアの精霊魔法の練習ね」
ときどき遭遇するオーク相手に、盾で動きを抑えている間に後方から投擲や魔法発動を繰り返していく。
「テアの≪石球≫みたいなのは何とかなって来たな」
「ありがとうございます」
「まぁユリの精霊魔法は特に言うことがないが、俺達の投擲は……」
元々ダガーを投げることも多かったシミリートは、自身が最前列ということもありあまり問題はなさそうであるが、特に3列目からのゾフィを含めた他メンバの投擲は今ひとつである。
「こればっかりは慣れるしかないよな」
「そうよ。まだまだ先を目指すわよ」
カミラが気合いを入れて先を目指す。
ダンジョンも一本道ではないのだが、昔からの役割分担のようにユリアンネが地図を書きながら進んでいる。階層に分かれていないようで、階段などはいまだに遭遇していない。