腕試し
「なぁ、ちょっと狩りに行かないか?」
夕食で皆が集まったときのシミリートの発言である。
「どう言うこと?」
「ほら、ユリやテアも新しいことを学んだみたいだし、俺達も投擲など色々と学んだだろう?」
「実践で試そうということ?」
「そう、カミラがいう通り」
シミリートは色々と学んだ武技も魔物などを相手に試してみたいようである。
「でしたら、近くのダンジョンをご案内しますよ」
かなり言葉を覚えてきた、ドロテアの饗応役であるサンダー・バードが発言する。
悪魔ギアマを封印していたダンジョン以外にも、魔物が生息しているダンジョンがいくつかあるようである。
「不慣れな技を試すのでしたら、強すぎても弱すぎても難しいですよね。オークくらいがちょうどかと」
「お、それだと食材の確保にも良いよな」
ヨルクも賛同するし、動かない的を相手の練習に飽きて来た仲間達も良い機会だと頷く。
あまり人数が多すぎると行動に制約が出るという懸念もあり、“選ばれた盟友”の7人以外にはサンダー・バードだけが道案内を兼ねて同行するとのこと。
「オークばかりのダンジョンですので、何かあっても皆さんの実力があれば大丈夫だろうとのことでした」
「洞窟のダンジョンだったら、8人でも多いくらいだよね」
「ま、いざとなれば、新しく習得した技術にこだわらなければ。所詮はDランク魔物だしね」
「魔法の袋の中身をできるだけ置いて行かないとね。お世話になっているお礼のためにも、しっかりお肉を持ち帰らないと」
ほぼ仲間だけでの気楽な魔物狩りというのが久しぶりなので、遠足前のような高揚感が皆にはある。