精霊魔法の練習
土精霊ペクトーンとの契約の後、確かに特に土が剥き出しになっている場所で意識すれば、ほんわかと土属性の魔力の存在に気づけるようになったユリアンネ。
「これが力の弱い土精霊ということね」
「はい、はかない感じの精霊はちょっとしたことで存在が消えてしまい精霊界に戻ることもあるかわりに、すぐにこの世界に生まれてくるようです」
「ここまで弱い感じだと自我もないのかしら」
「はい、そういう精霊もいますが、ペクトーン様のお名前を用いて魔法を発動しようとすると、それを理解できる精霊達が力を貸してくれるようです」
洞窟から集落に帰って来た後は、フェザーとストームを講師にユリアンネとドロテアは土属性の精霊魔法の練習を行っている。
集落の外で、土が剥き出しになっている広場に来ているのである。
ユリアンネは土属性の魔術として習得済みの初級魔法≪土生成≫≪石球≫ならばイメージしやすいので、それと同様の効果を精霊魔法で発動する練習から行っている。
ドロテアも、ユリアンネが発動したそれを真似することでイメージを固めている。
「大地の精霊よ、我が名はユリアンネ。契約者ペクトーン様の名を持って命ずる。土を生成せよ」
「ユリさん、その調子です。土属性の弱い場所では、同じ効果を得るために込める魔力を多くしないと成功しないのですが、ここならば逆に少しの魔力で成功できます」
「いつまでもこれを唱える必要はないのよね?」
「もちろん慣れれば声に出す必要はなくなりますし、少々ならば表現を変えることは可能ですよ」
少し慣れてくると初級ではなく中級≪土壁≫や上級≪石壁≫にも挑戦したくなる。
「この辺りのように土属性が強いところならば、同等の土属性魔術よりも消費魔力が減ると思いますよ」
ストームが解説してくれるが、まだ土精霊に発動したいイメージを上手く伝えられず、ロスが多いようでそれっぽい効果を得ることができないユリアンネ。
一方、ドロテアは初級≪土生成≫≪石球≫をそれっぽく発動することに慣れて来たくらいのようである。




