土精霊ペクトーン2
洞窟奥の祠の前で、姿を現した土精霊ペクトーンと会話をしているユリアンネ達。
「ユリアンネと申したか。そなたは土属性の魔法をどの程度使えるのか見せて貰えるかの?」
「はい、では」
立ち上がり、誰にも当たらない方向を向いて、上級土魔法の≪石壁≫≪岩槍≫を発動するユリアンネ。
「ふむ。そちらの娘はどうじゃ?」
「ドロテアと申します。私は土属性の魔法は習得できておらず、申し訳ありません」
「いや、そもそも魔法を取得していること自体が珍しく、さらに土属性魔法の者も少ないことは分かっているのじゃ。そこのフェザーとストームも使えないのじゃ」
屈んだまま頭を下げるドロテア。
「対価となる魔力の提供をしてくれるのならば、契約するのは問題ないのじゃ」
「本当ですか!?」
「うむ。わしらは自分の力を顕示することで信仰を高めるほど力を増すことができる存在じゃからな」
「ということは、契約をすればペクトーン様のお力をお借りすることになるのでしょうか」
「それももちろん可能じゃが、たくさんの魔力が必要になるのじゃ。普段ならば、世界に遍在する精霊の力を使用するのじゃ」
「どういうことでしょうか?」
「精霊というものは、力の弱いものから強いものまでこの世界にたくさん存在するのじゃ。気づいていないだけで、例えばこの洞窟のように土の属性が強いところには多くの精霊が棲息しておるのじゃ。この洞窟では、人と会話や契約ができるほどの者はわしだけじゃが」
「では、例えば湖や河川ではなく地面の上などであればその近くの精霊のお力をお借りできるということですね」
「ふむ。精霊と契約を結ぶとその属性の精霊の力を感じやすくなるのじゃ。まぁ発動するときにはもっとはっきりわかるじゃろう」