式神
「これは何とも」
陰陽師サン・アーチャーが発動した式神と、ユリアンネが発動させた角兎の≪幽霊≫でのゴーストを戦わせているのである。
≪骸骨≫でのスケルトンは式神の勝利、≪腐肉≫でのゾンビでは同等レベルであったのでゴーストで試すとゴーストの勝利であった。
「式神も色々な段階があり、今のはソコソコ簡易に製作した物ではあったが」
「この死霊魔法は、元の魔物の肉体や魔石が必要です。でも、式神はそれらが不要なので利便性が高いですよね」
「逆にそれだけ自身の魔力を込める必要があるので、他の魔石を流用できる方が良いことも」
「なるほど、確かに一長一短ですね」
「それと、この簡易な式神は一度きりの使い捨てなので、命令で単なる魔石に戻せるゴーストなどは便利に思えるな」
「逆に使い捨てではない式神もいるのですね」
「その使い魔シルヴィスと悪魔ギアマの中間のようなもので、契約した疑似生命であり、子孫に引き継ぐことも可能と言われている」
「伝聞調ということは……」
「失われた技であり、わしには再現できなかった。しかし、目の前でシルヴィスやギアマを見せて貰ったことで、少し希望が出るかもしれない。まだまだ死ねないな」
どこまで本気でどこから冗談なのか分からないので、適当な笑顔で返すユリアンネ。
「さて、いつまでもお嬢さんを拘束するわけにいかないな」
「こちらこそ、いつまでもすみませんでした」
「他にこの中つ国で学びたいことは無いのかな?」
「中つ国でなくても良いのですが、精霊魔法についても興味があります」
「探究心があるのは良いことだ。若者の特権、でもないか。わしも負けずに頑張るぞ」
「はい、お互いに頑張りましょう」




