陰陽師2
「はい、あちらでは紙がほぼ入手できません。そのため羊皮紙をベースにしているのかと」
「いや、それだけではない。火力を強化してある。なるほど、素材を紙ではなく羊皮紙にすることで耐性が上がるので火力を強化できたのか。面白いのう」
陰陽師であるサン・アーチャーにも、逆に興味を持たれたようである。
「他にはどのようなものを?」
「すみません、あちらでも貴重なもので。あるグループだけが使用しているのを見たことがある程度です。彼らが使用していたのは……。地面の魔法陣らしき物に足を踏み入れると炎が吹き上がるようにしていたり、何かが書かれている札がいくつかぶら下がった紐に触れると痺れて動けなくなったり、何か書かれた札を魔物に投げつけると炎のダメージを与えたり、でした」
「ふむ。それぞれ元になったものは想像がつくな。それ以外には?」
「いえ、その程度のみです。他人の技を覗き見るのはマナー違反でしたので」
「では、このようなものは?式神というのじゃが」
紙を人形のような形に切り抜いたものを取り出して、何か呪文を唱えて息を吹きかけると、人の子供のような者が現れる。
「いいえ、見たことがありません」
驚きながら返事だけは返すユリアンネ。
「ユリさんも悪魔と契約していますよね。使い魔も」
フェザーにうながされて、悪魔ギアマに姿を出させるのと、日頃は腕輪にしているシルヴィスにも小さなワイバーン形状に変形させて宙を飛ばせる。
「なんと!」
「サンさん、この悪魔があの洞窟で封印していた我らの先祖を苦しめていたギアマです。今はこのようにユリさんが契約して使役されています。あのワイバーンという飛龍の形のものはユリさんが生み出した使い魔です」