陰陽師
ユリアンネは薬の次に興味があったことをフェザーに相談する。
「この呪符についてなんだけれど」
「え?これ、紙ではなく羊皮紙に書いているのですね。でも墨と筆を用いている感じで」
「トリアンのガラクタ市で買ったから、あっちの方で入手できるもので作ったのだと思うのよ」
フェザーがどこかに相談して来たようである。
「本当ならば門外不出ですが、ユリさん達になら、と許可が出ました」
「ありがとう!」
案内されたのは集落でも端の方で他の家とは距離があり、木々に囲まれた邸宅であった。
「陰陽師のサン・アーチャーさんです」
陰陽師に関しては安倍晴明の名前くらいは分かる程度の前世知識である。やはりそっち系の技であったのかと思う。
「こちら、薬師で魔法使いのユリアンネさんです。この集落の恩人ですので、特別に案内をさせて貰いました」
フェザーの紹介で頭を下げるユリアンネ。
「簡単な魔法を羊皮紙に書いて、誰でもそれを発動させることができるスクロールを作ることができます。でも、自分から離れた場所で敵が触ると発動するなど呪符の利便性には驚きです」
最近、簡単な言葉は話せるようになったが、この内容はフェザーに通訳をして貰う。そして、トリアンで入手していた羊皮紙に書かれた呪符を見せる。
「ほぉ、ここで学んだ誰かがあちらで独自に改良をしているのか。技術の発展というのは面白いものじゃな」
頭髪だけでなく髭も白く、それらがとても長いので仙人のイメージだと思うユリアンネ。その彼が初めて口を開く。