技術交流3
「珊瑚は海で取るものだから、こんな内陸ではないみたいだし残念だったわ」
「でも、カミラはあの刀の装飾っていうの?紐だけでなくものすごく細かい細工のことも教わっていたじゃない」
「あれ、神話や昔話などをうまく細工物にして分かる人だけに分かって貰うって心遣いも良かったわ。そのアイデアは使えそうね。それにあれだけ細かい細工をするタガネの使い方や、刀の持ち手の手が滑らない紐の巻き方など学ぶことは多かったわ」
「なんだかんだと、カミラとゾフィも楽しんだようだな」
「明日はギアマをジモに預けてやってくれよな。ジモが新しい料理を覚えると、俺達の食事が豊かになるんだから」
「そういうヨルクが最初にギアマを連れて行ったんでしょう」
「う」
「助かるよ。料理をする包丁の使い方や鍋の振り方などは見ていてもわかるが、食材のことはやはり通訳がいないと、加工された後だけ見ても元が分からないからな」
「テアはどうだった?」
ユリアンネの問いに実演したドロテアは、手印をそれっぽく組み替えながら九字を唱えられるほどに習得していた。
「すごいじゃないか」
「でも、これが効くかは」
「で、なんで我を呼ぶのだ」
「まぁ、ギアマが嫌がるならば効果があるってことだし」
しかし、最初は嫌がっていたギアマも特にダメージを受けなかったのか涼しい顔のままである。
「やっぱり信仰が伴っていないと形だけではダメなのかな」
「テア、それに魔力を込めてやってみたら?」
「え?あ、こんな感じですかね」
「ぎゃあ、やめろ!」
ギアマに少しは効果があるようである。
「もしかすると、アンデッドなどには効果があるのかも」
ユリアンネが出した角兎の≪骸骨≫にも効果があることが確かめられたので、ドロテアが満足そうである。