技術交流
「ヨルクやユリは技術交流をちゃんと出来ていて良いわね」
夕食の際にカミラとゾフィから詰められるユリアンネ。
シミリートとジーモントは通訳がいなかった、もしくは雑な通訳にしかならないシャドウがたまに一緒になった程度ではあったが、模擬戦を楽しめていたようである。
それぞれスノー・ウィッチ、ピュア・スカイが饗応役として付き添い、水や手拭いの差し入れはされていたような話を聞いたカミラがさらに不機嫌になっていたのは男性陣には内緒である。
「あぁ、あのギアマの通訳は楽でいいな。どうせなら直接話せたら良かったのだが」
ヨルクはギアマの通訳を気に入ったようである。
「明日は私達に貸してよね」
カミラとゾフィが強く宣言する。
「しょうがないな。俺はまた模擬戦するが、ジモはどうする?」
「うーん。料理もある程度は見よう見まねでできるかな。やってみるよ。ダメならばシミの模擬戦に合流しに行くよ」
「テアはどうするんだ?」
「引き続き、サンダーさんに九字を教えて貰っておきます」
「そうか、通訳がいなくても手の動きの真似だけならばできるか」
「はい。それにサンダーさん、頭の良い方で私達の言葉も少しずつ覚えてくれるのですよ」
「テアが新しい技を覚えてくれたら嬉しいが、あれって覚えて習得できるものなのか?」
「リン、ピョウ、トウ、シャ、カイ、ジン、レツ、ザイ、ゼン!」
「え、すごいじゃないか。流石はテア」
「まだ音を覚えただけですが」
ギアマによる通訳のテストのときに聞いていたユリアンネは、技術だけでなく信仰も必要かもしれないと思いつつ、ドロテアのやる気を削ぐ必要もないし、彼女がその気ならばミョウオウを信仰することになっても良いと思って黙っている。