悪魔契約2
結果、悪魔ギアマと契約をする決心をしたユリアンネ。
ギアマから≪念話≫で聞いた呪文を唱える。
「contractus」
「我が魔法発動に必要な魔力の供給を認めるか」
「認める」
「我がこの短刀を依代に、この世界に留まることを認めるか」
「認める。私が許可したとき以外での魔法発動を禁止する」
「う。承諾する。では我ギアマと術者ユリアンネの契約の成立を宣言する」
ユリアンネはかなり魔力を消費した感じがするが、倒れるほどではない。
「で、ギアマ、これで実体化ができるの?」
「必要な魔力を貰えたら」
多くの魔力を使用したところなので、少し落ち着いてからギアマの依代である短刀に魔力を供給する。
「これで実体化して通訳して貰えるわね」
「任せろ」
まずはずっと希望していたヨルクに付き添って、刀鍛冶の仕事場に案内して貰う。
最初なのでフェザーが付いてくるだけでなく、ヨルクの饗応役であるスター・ウィンドも来ている。そのため、ユリアンネを含めた人数に刀鍛冶の職人は嫌そうな顔を隠そうともしない。
「ごめんなさいね。でも、彼らがこの集落の恩人なの」
「それは認識しているが」
「ギアマ、通訳を頼むわよ」
ユリアンネが悪魔ギアマを実体化させて通訳をさせると、刀鍛冶とヨルクがギアマを通じてまずは自己紹介から始めているのが横から見ていても分かる。ギアマは消費魔力を抑えるために、顔の大きさ程度の人形のような感じで宙を浮いているのが微妙におかしい。
「これならば私は不要ですね」
フェザーが安心して、後の世話をスターに頼んでいるのが分かる。
ユリアンネも、集落内程度なら離れても大丈夫であるとギアマに聞いた後は、ヨルク達を残して鍛冶場を離れて行く。