悪魔契約
集落の人達との技術交流をする際の障壁になりそうな言葉の問題。
悪魔ギアマが封印された短刀を握ることで、それぞれの言葉を使用できるギアマが通訳をできるが、いちいち握る必要があるのは手間である。
「ユリ、これってもうちょっと何とか何ないかな?」
「何とかって?」
「例えば、あの戦っていたときみたいに実体化させると、あっちにもこっちにも会話ができるでしょう?だったらこちらの手が塞がらないから、作業しながら話せるし」
「それに、互いの言葉が直接聞こえると、通訳がなくても話せるようになる可能性もあるし」
『ギアマ、どうすればいい?』
『魔力を与えてくれれば実体化ができるが、この世界の者と契約されていない状態では消費が激しい』
『契約って?』
『魔力の供給を対価に魔法等の行使を行うことが基本である。単にその契約だけであれば、行使する都度に魔界から召喚する方法もあるが、この世界に留まることを認められると、我の魔力消費が抑えられる』
『毎回召喚することよりメリットが多そうだけど、そうする場合のこちらのデメリットは?』
『この世に留まることを認めるには、術者が最初に多大な魔力消費ができること、継続した魔力提供が可能なことが必要になる』
『それに耐えられる人が限られるのね』
『そなたの魔力量ならばどちらも問題ないはずだ』
『それ以外のデメリットは無いの?』
『無い』
『ベリス、あなたの認識もそうなの?』
『最低限の契約ならばその程度だ。我はもっと……。いや、それは別の機会にしよう』
『やはりあなたは何か企んでいそうね』
ベリスは何か思惑がありそうだが、ギアマと最低限の契約を行うことは問題がなさそうである。