悪魔ギアマ3
悪魔ギアマを封印先が変更になったので、ダガーはカミラに返す。
「確かに黒さは無くなったけど、本当に大丈夫?」
「大丈夫よ、こっちに移っているのは確かね」
今度は短刀の刀身と持ち手が黒くなっている。
「これで、この短刀が刃こぼれしたりしても、魔力を流せば回復するのだよな。それに魔力を増やせば、品質も高くなっていくと」
今のところ、元々が高級中位だったのから変化はないことを≪簡易鑑定≫魔法で確認済みである。
「ヨルク、そんな簡単に悪魔を」
「ゾフィ、大丈夫だよ。ユリが居るんだから。それよりもこの切れ味を保持できる、向上させられる手段があるっていうことはすごいぞ」
ヨルクが食事ではなく、鍛冶職人の目線で興奮しているのは良いが、変な方向に走らないかだけは心配になる。
『じゃあ早速気になったことを確かめさせて貰うわよ』
ユリアンネがその封印先になった短刀を持って、休憩しているサンダーのところに向かう。
『あなたを握るように、彼に念話して』
ギアマに指示してから短刀をサンダーに手渡す。
サンダーは、恐る恐る受け取るとすぐに手放してしまう。慌てて拾い直して握る。その反対側をユリアンネも握ってからギアマに≪念話≫を行う。
『伝えたのね。驚かせてしまったようだけど』
『念話というものも知らなかったようだからな』
『今から私と彼の会話を通訳しなさい』
『何だと!いや、分かったよ……』
先ほどサンダーが何かを呟きながら両手を組み換えていたものが何かを聞きたかったユリアンネはその質問を、通訳のテストに使ったのである。