ツキノハラの悪魔3
「何なんだ!お前達。昔と違うではないか!」
「何を言っているか分からないが、どうせユリの力を見くびっていたと焦っているんだろう!」
「シミ、格好悪いわよ」
悪魔が中つ国の言葉で愚痴っていることへのシミリートの言葉は、カミラに指摘されている。
死霊魔法で生み出したスケルトンも簡単に撃破でき、先ほどからの≪雷撃≫魔法が確実に悪魔の力を奪って行っているようである。
焦りの気配が出てくる悪魔。逃げ出そうと洞窟の入口側に向けて飛翔するため、≪氷壁≫で塞いでおく。
「で、この後はどうするつもりだ?」
シミリートがユリアンネに変わって追い詰めていく。
まだどうにか逃げようとするので、さらに≪氷壁≫を発動して行動範囲を狭めた後に≪氷結≫で動きを封じる。
「シャドウ、フェザー。こいつはどうしたら良い?」
「ユリは流石だな」
「先祖を苦しめたと伝わる悪魔です。封印の玉も割れてしまいましたし、このまま倒せるならば倒してしまった方が良いかと」
「いや、待ってくれ!助けてくれ!使役されたら役立って見せるから」
「悪魔が命乞いか?ここで倒されても、別に死ぬわけではないんだろう?」
「いや、ではせめて封印してくれたら大人しくするから。魔界に戻るのは嫌なんだ」
「お前が玉を割ったんだろう?」
「何にでも封印されるから」
「なら、このダガーにでも封印されてくれる?」
横からカミラが会話に参加して、手元にあるダガーを掲げてくる。
「もちろんだ」
≪氷結≫から逃げ出して、勝手にそのダガーに自らを封印したようで、刀身も持ち手も黒くなる。