ツキノハラの悪魔
シャドウ達の故郷の近くの洞窟の最奥、祭壇のようなところで、さらにそのタペストリーの裏側にあった空間から転がり落ちて来た水晶玉。
神像を祀っていたと思われる台からさらに地面に落ちると、割れて黒い煙のような物が立ち上がる。
「な!」
シャドウが慌てて駆け寄ろうとするが、その煙がだんだんと人に近い形になってくると、危険を感じたのか神像を手にしたまま後退りする。
そしてその煙が、人と同じほどの大きさであるが、額の左右から角が生えており、背中にはコウモリのような翼がある男に変わって行く。
「ははは」
急に笑い出した男。
「ちょっとそこの悪魔!」
「何?我を悪魔だと認識するとは。お前は何者だ!」
『やっぱり悪魔なんだ。ベリス、あなたもあんな見た目なの?』
『だから悪魔だと言っただろう?それに俺はもっと男前だ』
「おい!」
悪魔に対して神像を前にするシャドウ。
「く!その像は!それにその気配。お前達、俺を昔に封印した末裔か!」
「やはり。我らの集落に呪いか病を広めたお前を、我らが先祖が封印したと聞いている。そしてそのお前はこの神像を苦手としていると」
「シャドウさん、護摩焚きをやります!」
サンダーが焚き火の後のような場所に近寄り、その横に置いてあった何か書かれた木片に火をつけようとする。
「貴様!ミョウオウの力など使わせぬ!」
悪魔が≪衝撃波≫のようなものでサンダーを弾き飛ばす。
「何を話しているんだ!」
その返事を聞くことなく、敵であると判断した悪魔に対して≪刺突≫のショートスピアを突き出すシミリート。しかし、その狭い場所から翼を使ったのか飛び上がる悪魔。