ツキノハラの洞窟奥3
「皆さん、ここが終点です」
ドレイクを倒した奥で、フェザーが言うようにいかにも洞窟の最奥のような気配の場所に到着する。
前世記憶での寺院の本殿のような、木造の構造物である。奥の壁には曼荼羅のようなタペストリーがかかっている。何らかの祭壇のようである。
その手前には何か祀られるものが置かれていたかのような空間があり、さらにその手前には小さな焚き火の後のようなものがある。
「神像はこちらで祀られていたものなのです」
シャドウが取り出した神像を元の位置に置きに前に進もうとしていると、シミリートがユリアンネから預かっている吸血ダガーがカタカタと震え出す。
これは悪魔ベリスが封印されているものである。
「なんだ、コイツ。急に」「ユリ、何か言いたいみたいだぞ」
鞘に入れたままシミリートが差し出して来るので、ユリアンネが受け取ると≪念話≫が頭に響いてくる。
『そこ、俺以外の悪魔が封印されているぞ』
「え!?」
「ユリ、何かあったか?」
シャドウが神像を置く前に振り返って聞いてくる。
「あ、ごめんね」
『そのタペストリーの奥に』
「そのタペストリーの奥に、何かある?封印されたものが居るとかって」
「な!ユリ、どうしてそれを!」
神像を手にしたまま、驚いてユリアンネ達のところに戻ってくるシャドウ。
そのすぐ後にタペストリーの奥から風が吹いた感じでタペストリーがめくれ上がる。
奥には空間があったようで、そこに片手に乗るほどの水晶玉のようなものがあったが、それが手前に転がり落ちてくる。