ツキノハラ酋長3
酋長達との会話の後は、男女に分かれて客間に案内される。この部屋も板間であり荷物は部屋の隅に置くように案内される。
女性陣の部屋はフェザーが案内している。
「ねぇフェザー、最後に酋長は何を言っていたの?」
「宴の準備を、と」
「それは何となく分かったけれど、その後よ」
「異文化との技術交流について大歓迎と」
「本当?やったね。え?でも、交流ってことは、私達も教えるの?」
「はい、お願いしますね」
カミラは何を教えたら良いかなと考え始めている。
「フェザー、もう一つあったわよね」
「聞き流しておいた方が良いですよ」
こっそりと聞いたユリアンネへのフェザーの返事に、ため息をつく。
「長旅の疲れもあるだろう、今日は宴でしっかり飲み食いをしてくれ」
男性陣の案内はシャドウが担当していたが、その程度の言葉のやり取りで終わっている。
「じゃあ、俺達からもお土産としてハイオークとオークの肉を提供するぞ」
「そうか、それは助かる。ハイオークの肉はここでは滅多に食べられないからな」
しばらく男女それぞれに割り当てられた部屋で休んでいる仲間達。夕方になり、宴への案内と思われる使いの者が部屋に来て外に連れ出される。
酋長の館の横にあった大きな広場の真ん中に巨大な焚き火があり、その近くにゴザが並べられている。すでに多くの住民達、おそらく数百人が座っているが、その一つが空席でかなり広いが、客人である自分達用なのか食べ物が乗ったお皿も並べられている。
「ここでも靴を脱いで座るみたいね」
「郷に入れば郷に従え、その地域の風習や慣習に従いましょう。その方が仲間に認められて色々と教われるわよ」
偉そうなことを言っていると思いながら、自分は前世記憶に従って懐かしい雰囲気を楽しむことにするユリアンネ。