ツキノハラへ3
「さぁ着いたぞ。我らがツキノハラだ」
森の中を歩いていたのに、急に開けた場所に到着する。丸太を組まれた柵が集落を囲んでいるようだが、端が見えないくらいには大きいようである。
木製の城門は閉じられていたが、その上の最大で10人ほどが入れるような場所に居た衛兵らしき人物がこちらを発見する。
「誰だ?お、もしや。シャドウさん。それにフェザーさん!」
「おぅ。帰ったぞ」
「おぉ、シャドウさん達がお帰りになったぞ。お館にお知らせして来い」
城門が左右に開かれて中に招かれると、近くに居た人達は兄妹が乗る戦馬、ホーの近くに集まって来る。
「随分と人気があるみたいだな」
「確か酋長の子供で、シャドウが次期酋長だって話だったよな」
シミリート達は言葉もあまり分からないが、シャドウ達の帰郷を歓迎されている雰囲気は良く分かるので、城門から入ったところで横に離れておく。
しかし、シャドウが自分達を指し示して何かを言ったようで、多くの視線を集めることになる。
「皆さんが私達の恩人であるということを言ったんですよ。さぁ、そんな端に居ないで一緒に行きましょう」
フェザーが声をかけてくれ、そのまま集落の中心に向かって騎乗のまま進み出す。
パレードではないが、それっぽい雰囲気になったなか、おそらく集落の中心にあると思われる酋長の館に向かっていく。
「なんかこそばゆい感じだな」
「ま、あの2人の人気のおかげよね」
「言葉は分からないけれど、歓迎されている感じなのはありがたいわね」
木造の平屋、もしくは二階建て程度の家々が並ぶなかを進むと到着した建物は他に比べて敷地も広く、高い建物は三階建てと思われる立派なものであった。