ツキノハラへ
風花の中つ国の食事等を楽しんだ一行は、翌朝に東の方にあるシャドー達の集落であるツキノハラに向けて出発する。
「草原が続くって話だよな?」
「そうだな、ほとんどは草原だ。だいたい1週間、6日ぐらいで着くと思うぞ」
戦馬であるホーに妹フェザーと二人乗りして、鷹のフィアを近くの上空で飛ばせているシャドウ。草原を走る姿が絵になると思ってしまう。
「で、何でこんなに狼が多いんだ?」
「馬とセットで、餌がたくさん来たと思われたのかしらね」
馬が8頭と人が9人。馬車のような足が遅くなるものがないのだが、確かに餌の集団と思われたのであろうか。
Cランク魔物の戦馬に対して、単体ではDランクの狼が勝てるはずもないのに統制が取れた集団攻撃を仕掛けてくる。
「残念だが、餌にはなってやらんぞ」
途中までは都度撃退していたが、数が多くて面倒になり、バトルホースの脚力を活かして振り切ることにした。
「矢も回収できないと勿体無いし、毎回戦っていたら到着が遅れていくだけだからな」
「ま、魔物が向こうと変わらないことに安心したわ」
「確かに角兎もそこらにいるようだしね」
「この辺りにいるのは、モンタール王国で良く見かけた魔物と同じようなのが多いですが、場所によっては違うんですよ」
「え?そうなの?」
「まぁ見かけたときのお楽しみに」
「えー」
それからも野営中にゴブリンの小集団が襲ってくる等、何となく日本的な妖怪を想像していたユリアンネにすると違和感があった。
そして、港街であったシオサキを出てから少しは街道っぽいところを通って来た間は、黒髪の国民達ともすれ違うことがあったのだが、途中で街道から離れると人影を見ることもなくなっていった。