毒
シミリートが衛兵に採用されて、ダンジョンに一緒に行けなくなってしまっても、時々は彼を除いたメンバでダンジョンに潜るユリアンネたち。
ユリアンネは薬草の仕入れを自分で行いたいのと同様に、仲間たちもそれぞれに想いがある。シミリートは強くなることも目標にしていたが、彼が居なくなると食材を含めた素材目的の仲間たちが多い。
しかし、盾役であり攻撃も担っていたシミリートが抜けた最大5人では安全性に不安があり、泊まりでの攻略や21階や22階のCランク魔物に挑戦するのは避けて、20階までの階層への日帰りばかりである。
「そうは言っても、やっぱりシミが抜けたのは痛いな」
「そうだよね、盾を持っているジモへの負担が増えているよね」
「誰か盾役する?」
「とは言っても、ヨルクの身長や女性の腕力ではね……」
「ねぇ、食材に出来なくなっても良いのなら、毒を使ってダメージを増やしてみる?」
「そうだな。倒した敵を全て食材にするわけでもないし、敵が早く倒れるのなら安全性も上がるからな。ユリ、いけるか?」
「そうね、薬にもなるトリカブトは猛毒だから、もともと矢毒などにも使われているしね」
「じゃあ、ゾフィの矢は毒を塗ったものとそうで無いものを使い分ければ良いけれど、他のみんなはどうしようか」
「そうね、私は矢羽に黒色か何か目印をつけるわ。ユリは元々魔法だし、ヨルク、カミラ、ジモね」
「みんなの武器に毒をつけたら食材がゼロになるし、毒の有無の2種類を持つには、ヨルクの戦斧は現実的では無いわね。私とジモが毒を塗った片手剣を右腰にさすのが現実的かしら」
「そうだな。片手剣ならまだ軽いし、左右の腰に毒の有無を分けるか。俺は盾もあるからカミラがメインかもしれないが」
街中で毒を塗った武器を持つのも怖いし、ダンジョンに入ったところでユリアンネが用意したトリカブトを塗り、ダンジョンを出る前に不要な魔物肉などでしっかり拭うというルールも合意することになった。
Eランク程度の弱い魔物では毒がまわるとすぐに死亡することもあったり、強い魔物でも動きが遅くなることもあったりして、少しは安全に冒険を続けられるようになった。




